樹高22m、幹周5.2mの希少な巨木として1983年に大阪府天然記念物に指定された、天王のアカガシ。 アカガシは暖帯に自生する常緑高木なのですが、カシの中でも耐寒性が強いので天王の高地でも生育して、巨木となったそうです。 それにしても、何故ここに、このような立派な木が残っているのでしょうか...?
国道173号天王トンネル南口の道路脇から山道を進んでいくと、突然2本の大木が姿を現します。
手前の木が天王のアカガシと呼ばれているもので、後ろの一本もアカガシです。2本とも大阪府の天然記念物に指定されています。
この場所には小さな祠がありますが、ここにはかつて神社(大梵天王社)があったのです。
天王村の氏神として「大梵天王」が祭祀されていました。
大梵天王は仏教護持の神の中でも筆頭に挙げられ、他の四天王より最上の地位にある仏のこと。
アカガシは社の御神木として村の人から大切に守られてきたようです。
室町時代に疫病が大流行したときに、高僧より「社を村の下手より清浄な上手に移すべし」という神のお告げがあったことから、社は高台に移されました。それが現在の高皇産霊(たかみむすび)神社になっています。
写真/高松祐太
地元の人によって近年建てられたという自然石を組んだ祠。
ここが神域といわれると、確かに特別な神秘的な場所のように思えてきます。能勢町の東にある「野間の大けやき」も地域の御神木ですが、それとは全く違う雰囲気です。
荒くゴツゴツした幹肌。捻れながら空に向かって伸びている枝。
まるで何かを叫んでいるかのような、独特の存在感がある天王のアカガシ。
ぜひ一度、会いにいかれてはいかがでしょうか。